学研全訳古語辞典 |
あずま 【東】
⇒あづま
あづま 【東・吾妻】
①
東国。▽都から見て東の地方。
出典伊勢物語 九
「京にはあらじ、あづまの方(かた)に住むべき国求めにとて行きけり」
[訳] (その男は)都にはおるまい、東国の方に住むにふさわしい国を探しにと思って出かけて行った。
②
鎌倉。鎌倉幕府。
出典十六夜日記
「あづまにて住む所は月影の谷(やつ)とぞいふなる」
[訳] 鎌倉で住む所は月影の谷というそうだ。
③
「東琴(あづまごと)」の略。
出典源氏物語 花散里
「あづまに調べて搔(か)き合はせ」
[訳] 和琴に合わせて演奏し。
参考
「あづま」の範囲 時代・文献によって違う。上代でも碓氷(うすい)峠・足柄峠以東、信濃(しなの)の国・遠江(とおとうみ)の国以東、近江(おうみ)の国以東などと一定していないが、現在の東北地方も含んで呼んだ。以後、次第に現在の関東地方をさすようになった。
ひがし 【東】
①
東方。
出典蕪村句集 俳諧
「菜の花や月はひがしに日は西に―蕪村」
[訳] ⇒なのはなや…。
②
東から吹いて来る風。こち。
出典更級日記 竹芝寺
「西ふけば東になびき、ひがし吹けば西になびく」
[訳] 西風が吹くと(ひさごは)東に寄り、東風が吹くと西に寄る。
③
鎌倉や江戸。中世・近世、京都や大坂に対していう。[反対語]①~③西。
参考
「ひがし」は、「ひむかし」↓「ひむがし」↓「ひんがし」↓「ひがし」と変化した語。「ひむかし」は「日向かし」の意で、「し」は本来は風の意。
ひむがし 【東】
方角の一つ。ひがし。「ひむかし」とも。
出典万葉集 四八
「ひむがしの野にかぎろひの立つ見えて」
[訳] ⇒ひむがしの…。
参考
のちに「ひんがし」↓「ひがし」と変化した。
ひんがし 【東】
「ひむがし」の変化した語。
東のページへのリンク |