学研全訳古語辞典 |
まか・る 【罷る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
退出する。おいとまする。▽高貴な人のもとから。
出典万葉集 三三七
「憶良(おくら)らは今はまからむ」
[訳] ⇒おくららは…。
②
出向く。下向する。▽高貴な場所や都から地方へ行く。
出典竹取物語 蓬莱の玉の枝
「『玉の枝取りになむまかる』と言はせて下り給(たま)ふに」
[訳] 「玉の枝を取りに出向く」と伝えさせてお下りになるので。
③
参上する。参る。▽「行く」の謙譲語。
出典徒然草 二一五
「なえたる直垂(ひたたれ)、うちうちのままにてまかりたりしに」
[訳] よれよれになっている直垂を着て普段着姿で参上したところ。
④
行きます。参ります。▽「行く」の丁寧語。
出典源氏物語 若紫
「いづ方へかまかりぬる。いとをかしう、やうやうなりつるものを」
[訳] (飼っていたすずめは)どこへ行ってしまったのでしょうか。かわいらしく、だんだんなってきたのに。
⑤
〔他の動詞の上に連用形が付いて〕…ます。…いたします。▽謙譲・丁寧の意。
出典枕草子 大進生昌が家に
「たまたまこの道にまかり入(い)りにければ」
[訳] たまたまこの(漢学の)道にはいっておりましたから。
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