学研全訳古語辞典 |
ともし
(一)
【灯し】ともし火。灯火。明かり。
(二)
【照射】夏の夜の山中で、狩人が鹿(しか)をおびき出すために篝火(かがりび)をたいたり、松明(たいまつ)をともしたりすること。また、その火。
とも・し
活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}
(一)
【羨し】
①
慕わしい。心引かれる。
出典万葉集 三五二三
「ともしき君は明日さへもがも」
[訳] 慕わしいあなたは明日も来てほしい。
②
うらやましい。
出典万葉集 五五
「亦打山(まつちやま)行(ゆ)き来(く)と見らむ紀人(きひと)ともしも」
[訳] 亦打山を行き来するごとに見ているであろう紀伊(きい)の人がうらやましいことよ。
(二)
【乏し】
①
少ない。不足だ。
出典方丈記
「薪(たきぎ)さへともしくなりゆけば」
[訳] 薪までもが少なくなってゆくので。
②
貧しい。
出典徒然草 一四一
「ともしく叶(かな)はぬ人のみあれば、おのづから、本意(ほい)通らぬこと多かるべし」
[訳] 貧しく、望みがかなわない人ばかりなので、自然、思いどおりにならないことが多いにちがいない。
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