学研全訳古語辞典 |
と-や
分類連語
①
〔文中の場合〕…と…か。…というのか。▽「と」で受ける内容について疑問の意を表す。
出典伊勢物語 一四
「さすがにあはれとや思ひけむ、行きて寝にけり」
[訳] さすがに(その女を)いとしいと思ったのだろうか、(男は)行って共寝をした。
②
〔文末の場合〕
(ア)
…とかいうことだ。▽伝聞あるいは不確実な内容であることを表す。
出典今昔物語集 二三・二二
「昔はかかる力ある相撲人(すまひびと)もありけりとなむ語り伝へたるとや」
[訳] 昔はこんな力の強い力士もいたのだと語り伝えているとかいうことだ。
(イ)
…というのだな。…というのか。▽相手に問い返したり確認したりする意を表す。
出典安宅 謡曲
「なにと、勧進帳(くわんじんちやう)読めとや」
[訳] なんだって、勧進帳を読めというのか。◇近世の用法。
参考
②(ア)は説話などの末尾に用いられる。「とや言ふ」の「言ふ」が省略された形。
なりたち
格助詞「と」+係助詞「や」
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