学研全訳古語辞典 |
おほぞらは…
分類和歌
「大空は梅のにほひにかすみつつ曇りも果てぬ春の夜の月」
出典新古今集 春上・藤原定家(ふぢはらのさだいへ)
[訳] 大空は梅の香にかすみながら、すっかり曇りきることもない春の夜の月よ。
鑑賞
二句三句の「梅のにほひにかすみつつ」は、嗅覚(きゆうかく)を視覚に結びつけた印象的な表現。実際は春の夜のかすみでかすんでいるのだが、濃厚に漂う梅の香がたちこめて、いかにもその香でかすむように感じられたのである。平安時代前期の歌人、「大江千里(おほえのちさと)」の「照りもせず曇りも果てぬ春の夜の朧月夜(おぼろづくよ)にしくものぞなき」(『新古今和歌集』)〈⇒てりもせず…。〉を本歌としている。また、この本歌は『源氏物語』の「花宴(はなのえん)」の巻にも引用されている。
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