学研全訳古語辞典 |
おほぞらの…
分類和歌
「大空の月の光し清ければかげ見し水ぞまづこほりける」
出典古今集 冬・よみ人知らず
[訳] 昨夜は大空の月の光が本当に澄んでいて美しかったから、その月の映っていた庭の水が真っ先に凍ったことだよ。
鑑賞
「水」は庭の池や遣(や)り水を指す。その水が夜のうちに凍ったのは、冷たく澄んだ月を映していたからだろうと想像した歌。『古今和歌集』らしい知的な思いつきが一首の中心だが、冬の夜のさえかえる月の美しさが実感として味わえる。「月の光し」の「し」は上に付いた語を強める副助詞であり、「かげ見し」の「し」は直接経験した過去を表す助動詞「き」の連体形。係助詞の「ぞ」の結びは「ける」で、あることに気づいたことを詠嘆する助動詞「けり」の連体形。
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