学研全訳古語辞典 |
うみくれて…
分類俳句
「海暮れて鴨(かも)の声ほのかに白し」
出典野ざらし 俳文・芭蕉(ばせう)
[訳] 冬の海はもう日が暮れようとしている。どこからか聞こえてくる鴨の声がほの白く感じられる。
鑑賞
聴覚的なもの(鴨の声)を視覚的なもの(白という色)で表し、それによって冬の海の暮色を全感覚的に表している。これは、静かさを音によって表す方法(「閑(しづ)かさや岩にしみ入る蟬(せみ)の声」など)とともに、芭蕉が完成させた表現方法である。また、五・五・七という破調は「鴨の声」に見いだした感動を深めている。季語は「鴨」で、季は冬。
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