学研全訳古語辞典 |
おと 【弟・乙】
①
弟。妹。[反対語] 兄(え)。
②
長子でない子。末子(ばつし)。乙子(おとご)。
おと- 【弟・乙】
①
〔人を表す語または人名に付けて〕年下の。末の。「兄(え)宇迦斯(うかし)・弟宇迦斯」。
②
〔人を表す語または人名に付けて〕美しい。愛する。年若い。かわいい。「弟橘比売命(たちばなひめのみこと)」
おと 【音】
①
物音。響き。
出典古今集 秋上
「秋来(き)ぬと目にはさやかに見えねども風のおとにぞ驚かれぬる」
[訳] ⇒あききぬと…。
②
声。鳴き声。
出典枕草子 鳥は
「十年ばかりさぶらひて聞きしに、まことにさらにおとせざりき」
[訳] 十年ほど宮仕えをして聞いていたが、本当に、全然(うぐいすの)鳴き声はしなかった。
③
〔多く下に打消の語を伴って〕訪問。たより。
出典竹取物語 竜の頸の玉
「夜昼待ち給(たま)ふに、年越ゆるまでおともせず」
[訳] 夜も昼も待っていらっしゃるのに、年を越すまでたよりもしてこない。
④
〔多く「おとに聞く」「おとに聞こゆ」の形で〕うわさ。評判。
出典金葉集 恋下
「おとに聞くたかしの浜のあだ波はかけじや袖(そで)の濡(ぬ)れもこそすれ」
[訳] ⇒おとにきく…。
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