学研全訳古語辞典 |
おひたたむ…
分類和歌
「生ひたたむありかも知らぬ若草をおくらす露ぞ消えむ空なき」
出典源氏物語 若紫
[訳] 成長してどんな所で暮らしていくのかもわからないこの若草(のような幼い子)を後に残して、露(のような命の私)は消えていく空がありません(=死んでも死にきれません)。
鑑賞
いつまでも幼く子供っぽい孫娘の髪をなでながら、その行く末を案じて祖母の尼君が詠んだ歌。「若草」は後年、源氏の理想的な伴侶(はんりよ)となる紫の上のこと。はかなく消えてゆく自分を「露」にたとえている。「生ひたたむ」「消えむ」の「む」はともに婉曲(えんきよく)の助動詞。
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