学研全訳古語辞典 |
おぼろけ・なり
活用{なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ}
①
〔多く下に打消の語や反語表現を伴って〕普通だ。並ひととおりだ。ありきたりだ。
出典枕草子 木の花は
「『梨花(りくわ)一枝、春、雨を帯びたり』など言ひたるはおぼろけならじと思ふに」
[訳] (楊貴妃(ようきひ)の泣き顔を)「一枝の梨の花が、春、雨を含みもっている」などと詩にうたうのは、並ひととおり(の美しさ)ではないだろうと思うと。
②
並ひととおりではない。格別だ。
出典源氏物語 薄雲
「おぼろけに思ひ忍びたる御後見とは思し知らせ給(たま)ふらむや」
[訳] 並ひととおりでなく我慢をしてのお世話であるとは十分にご理解なさっていらっしゃるでしょうか。
語の歴史
中世末期までは「おぼろけなり」と「け」は清音であったが、近世以降、「おぼろげなり」と濁るようになった。
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