学研全訳古語辞典 |
おぼほ・る
活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}
(一)
【溺ほる】
①
(水に)おぼれる。
出典源氏物語 明石
「何の報いにか、ここら横さまなる波風にはおぼほれ給(たま)ふ」
[訳] 何の報いで、たいそう邪悪な波風におぼれなさるのか。
②
涙にむせぶ。涙にくれる。
出典源氏物語 早蕨
「心をさめむ方なくおぼほれゐたり」
[訳] 気持ちを落ち着かせる方法もなく涙にくれ座っている。
(二)
【惚ほる】
①
ぼんやりする。正気(しようき)を失う。
出典蜻蛉日記 下
「例のつきせぬ事におぼほれてぞ果てにける」
[訳] いつものつきることのないもの思いにぼんやりして(今年も)終わってしまった。
②
知らないふりをする。とぼける。
出典源氏物語 帚木
「むげに世を思ひ知らぬやうおぼほれ給(たま)ふなむ」
[訳] まるで男女の仲など理解できないかのようにとぼけなさるのが。
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