学研全訳古語辞典 |
おもかげの…
分類和歌
「おもかげのかすめる月ぞやどりける春や昔の袖(そで)の涙に」
出典新古今集 恋二・藤原俊成女(ふぢはらのとしなりのむすめ)
[訳] あの人の面影がかすんで見える朧(おぼろ)にかすむ月が宿ったことだ。春は昔のままの春ではないのか、昔のままの春なのにと、泣いて濡れている袖の涙の上に。
鑑賞
「月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして」(『古今集』・恋五・在原業平、『伊勢物語』四段)の本歌取り。「かすめる」は、「おもかげ」と「月」の両方にかかる。春の朧月夜に過ぎ去った恋を嘆く本歌の世界を背景にして、恋しい人を思い出して流した袖の涙に、その面影のかすんで見える朧月が映えるさまを詠んだもの。
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