学研全訳古語辞典 |
くれてゆく…
分類和歌
「暮れてゆく春のみなとは知らねども霞(かすみ)に落つる宇治の柴舟(しばぶね)」
出典新古今集 春下・寂蓮(じやくれん)
[訳] 終わろうとする春の行き着く先は知らないけれど、かすみの中を下ってゆく宇治川の柴舟とともに、春も去ってゆく感じがする。
鑑賞
季節感の推移を、空間的な移動に見立てたところが印象的な一首。暮春の雰囲気と、かすみの中の宇治川を下る柴舟の景色が見事に呼応して、一幅(いつぷく)の絵を見るような趣がある。「柴」は垣根や薪(たきぎ)にする木の枝のこと。「柴舟」はそれを積んだ舟。
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