学研全訳古語辞典 |
すご・し 【凄し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
気味が悪い。
出典源氏物語 若紫
「霰(あられ)降り荒れてすごき夜のさまなり」
[訳] あられが荒々しく降り、気味が悪い夜のようすである。
②
もの寂しい。ぞっとするほど寂しい。
出典更級日記 かどで
「日の入りぎはの、いとすごくきりわたりたるに」
[訳] ちょうど日の入りのときで、たいそうもの寂しく、霧が一面にたちこめているときに。
③
殺風景だ。冷ややかだ。
出典紫式部日記 消息文
「艶(えん)になりぬる人は、いとすごうすずろなるをりも、もののあはれにすすみ」
[訳] 情趣本位が身についてしまった人は、ひどく殺風景でなんということのないときも、しみじみとした情趣をもとめ。◇「すごう」はウ音便。
④
ぞっとするほどすばらしい。
出典源氏物語 若菜下
「おどろおどろしからぬも、なまめかしく、すごくおもしろく」
[訳] (太鼓が入らず)仰々しくないのも、優雅で、ぞっとするほどすばらしく趣があり。
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