学研全訳古語辞典 |
すま・ふ
活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}
(一)
【争ふ】抵抗する。張り合う。争う。
出典伊勢物語 四〇
「女も卑しければ、すまふ力なし」
[訳] 女も身分が低いので、(男の親に)張り合う力がない。
(二)
【辞ふ】あえて断る。辞退する。
出典伊勢物語 一〇一
「もとより歌の事は知らざりければ、すまひけれど、しひてよませければ、かくなむ」
[訳] 元来歌のことは知らなかったので、辞退したが、無理に詠ませたので、こう詠んだ。
すま・ふ 【住まふ】
活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}
住みついて暮らす。住む。
出典源氏物語 須磨
「すまひ給(たま)へるさま、言はむ方(かた)なく唐(から)めきたり」
[訳] 暮らしていらっしゃるようすは、何とも言えず異国風で魅力的であった。
参考
上代語の連語「住まふ」(動詞「住む」の未然形+継続の助動詞「ふ」)が中古以降一語化したもので、同じような例に「語る」↓「語らふ」、「呼ぶ」↓「呼ばふ」などがある。
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