学研全訳古語辞典 |
そこ-そこ(に)
①
あわただしく。そそくさ。▽物事を急いでするようす。
出典好色一代男 浮世・西鶴
「腰より下の一重(ひとへ)もけふの汗にとてそこそこにときすてて」
[訳] 腰から下の一枚(=腰巻)も今日の汗でと、あわただしく脱ぎ捨てて。
②
中途半端に。無造作に。▽物事をいいかげんにするようす。
出典世間胸算用 浮世・西鶴
「銀(かね)集まれば皆わがものとおもふから、そこそこにさいそくせず」
[訳] 金が集まればみな自分のものと思うので、中途半端に催促しない。
そこ-そこ 【其処其処】
①
どこそこ。▽特にその場所を明示しないで、ある場所を漠然とさす。
出典徒然草 五〇
「『ただ今はそこそこに』など言ひ合へり」
[訳] 「(鬼の行方は)ちょうど今はどこそこに」などと言い合った。
②
あちこち。そこここ。▽全体に行き渡っているようすを表す。
出典八百屋お七 浄瑠
「初めのごとくそこそこまで、かやうに普請いたせし事」
[訳] 初めのようにそこここまで(行き届かぬところなく)、このように建築いたしたこと。
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