学研全訳古語辞典 |
そそ・く
活用{か/き/く/く/け/け}
せわしく物事をする。そそくさとする。
出典蜻蛉日記 中
「初夜(そや)行ふとて、法師そそけば」
[訳] 初夜の勤行を行うというので、僧がせわしくするので。
そそ・く
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
ほつれる。髪・草などそろっていたものが乱れる。
出典源氏物語 野分
「花は限りこそあれ、そそけたる蘂(しべ)なども、まじるかし」
[訳] 花は(美しいといっても)限度があるもので、(ぼさぼさに)ほつれている蘂なども、(みっともなく)まじるものだよ。
そそ・く 【注く・灌く・灑く】
活用{か/き/く/く/け/け}
①
(水が)流れる。
出典日本書紀 応神
「長(たか)き瀾(なみ)そそき湲(なが)る」
[訳] 高い波が流れて。
②
(雨・雪などが)降りかかる。
出典源氏物語 蓬生
「日ごろ降りつる名残の雨、今少しそそきて」
[訳] 数日来降っていた雨の余波が、今少し降りかかって。
③
(涙が)盛んに流れ落ちる。
出典源氏物語 須磨
「酔(ゑ)ひの悲しび、涙そそく春の杯のうち」
[訳] 酔った悲しみに、涙が春の杯の中に流れ落ちる。
活用{か/き/く/く/け/け}
①
振りかける。流しかける。
出典伊勢物語 五九
「面(おもて)に水そそきなどして」
[訳] 顔に水を流しかけなどして。
②
(器などに、液体を)つぎ込む。
出典伽羅先代萩 浄瑠
「鼎(かなへ)にそそぐ潔浄水」
[訳] 鼎につぎ込むけがれのない清い水。
参考
近世以降は「そそぐ」。
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