学研全訳古語辞典 |
とふ
分類連語
…という。
出典万葉集 八八三
「佐用姫(さよひめ)が領巾(ひれ)振りきとふ君松浦山(まつらやま)」
[訳] 佐用姫が肩から垂らした布を振ったという、君を待つ、松浦山は。
参考
「といふ」の変化したもの。上代には「とふ」「ちふ」が用いられ、中古には「てふ」が用いられる。
と・ふ 【問ふ・訪ふ】
活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}
①
尋ねる。問う。
出典伊勢物語 九
「渡し守にとひければ」
[訳] 渡し舟の船頭に尋ねたところ。
②
調べる。詰問する。
出典平家物語 四・南都牒状
「その罪をとふべしといへども」
[訳] その罪を詰問しなければならないというが。
③
訪れる。訪問する。見舞う。
出典古今集 秋下
「秋は来(き)ぬ紅葉(もみぢ)は宿に降りしきぬ道踏み分けてとふ人はなし」
[訳] 秋が来た。紅葉は庭にいっぱい散ってしまった。しかし、その道を踏み分けて私を訪れる人は一人もいない。
④
弔問する。弔う。
出典徒然草 三〇
「跡とふわざも絶えぬれば」
[訳] 死者の霊を弔う法事もしなくなってしまうと。
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