学研全訳古語辞典 |
なにしおはば…
分類和歌
出典百人一首
「名にし負(お)はば逢坂山(あふさかやま)のさねかづら人に知られでくるよしもがな」
出典後撰集 恋三・藤原定方(ふぢはらのさだかた)
[訳] 逢坂山が「逢(あ)ふ」という名を負っているなら、「さ寝(ね)」ということばにも通じる逢坂山のさねかづらのつるをたぐるように、人に知られずにあなたのもとに来る方法があればよいなあ。
鑑賞
「逢坂山」に「逢ふ」を、「さねかづら」に「さ寝」を、「くる」に「繰(く)る」と「来る」とをかけている。
なにしおはば…
分類和歌
「名にし負はばいざ言問(ことと)はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと」
出典古今集 羇旅・在原業平(ありはらのなりひら)・伊勢物語九
[訳]
「都」
という言葉を名として持っているのなら、さあ、都のことを尋ねよう。都鳥よ。私の恋しく思っているあの人は健在かどうかと。
鑑賞
この歌は、『古今和歌集』羇旅(きりよ)の部の詞書(ことばがき)に成立の事情が述べられているが、それは『伊勢(いせ)物語』第九段の記述と同じである。『古今和歌集』でこの歌の前にあるのは、やはり『伊勢物語』の同じ段にある「唐衣(からころも)きつつなれにしつましあればはるばるきぬるたびをしぞ思ふ」〈⇒からころも…。〉の歌であり、「わが思ふ人」は都に残して来た「なれにし妻」である。「あり」は、「生きている」「無事である」の意。
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