学研全訳古語辞典 |
はなはちり…
分類和歌
「花は散りその色となくながむればむなしき空に春雨ぞ降る」
出典新古今集 春下・式子内親王(しきしないしんわう)
[訳] 桜の花は散ってしまい、何を眺めるというわけでもなく、ぼんやりと思いにふけって空を見ていると、何もない空に春雨がふっていることだ。
鑑賞
空に枝を張り、絢爛(けんらん)と咲き誇っていた桜も幻となってしまった。何もない空は作者の心そのもので、ただ細い春の雨だけが降っている。やりきれない空虚さを、美しい言語の世界に定着させた歌。本歌は「暮れがたき夏のひぐらしながむればそのこととなくものぞ悲しき」(『伊勢(いせ)物語』)〈⇒くれがたき…。〉
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