学研全訳古語辞典 |
ほ-い 【布衣】
①
(貴族の)平常の衣服。平服。私服。
出典宇津保物語 祭の使
「元則(もとのり)、しばしほいになりて、その装束(そうぞく)この学生(がくしやう)に取らせよ」
[訳] 元則は、しばらく平服になって、(着ている)その装束をこの学生に貸してやれ。
②
六位以下の者が着る、無紋(=無地)の狩衣(かりぎぬ)。また、それを着る身分の者。
出典大鏡 師輔
「滝口を放ちてほいの者内に参る事は」
[訳] 滝口の武士をさしおいて、無紋の狩衣を着る身分の者が宮中に参上することは。
③
江戸時代、将軍に面会できる身分の幕臣が礼服として着た、絹地の無紋の狩衣。また、それを着る身分の者。◆①②は「ほうい」とも。
ほ-い 【本意】
本来の目的。本来の志。かねてからの願い。宿願。
出典徒然草 五二
「ゆかしかりしかど、神へ参るこそほいなれと思ひて、山までは見ず」
[訳] 行ってみたかったけれど、(石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)の)祭神へお参りすることこそ本来の目的であると思い、山までは(行って)見ない。◆「ほんい」の撥音(はつおん)「ん」が表記されない形。
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