学研全訳古語辞典 |
み-こと 【命・尊】
神・天皇、または、目上の人の尊敬語。▽「…のみこと」の形で用いる。
出典古事記 神代
「八千矛(やちほこ)の神のみこと」
[訳] 八千矛の尊い神。
出典万葉集 四四三
「たらちねの(=枕詞(まくらことば))母のみこと」
[訳] 尊い母。◆「み」は接頭語。
①
お前。お前さん。▽対称の人称代名詞。
出典今昔物語集 一六・一八
「我とみことと争ひをせむと思ふを」
[訳] おれとお前と争いをしようと思うが。
②
やつ。その人。▽他称の人称代名詞。
出典今昔物語集 二五・三
「そのみことは、我に挑むべきことかは」
[訳] そのやつは、おれに挑むことができようか、いや、できるはずがない。
参考
(1)[一]は、『日本書紀』では、非常に尊い身分に「尊」、それ以外は「命」と使い分けているが、『古事記』では「命」だけである。(2)[二]は、『今昔(こんじやく)物語集』に見られる人を見くびって呼ぶ用法。
み-こと 【御言・命】
お言葉。仰せ。詔(みことのり)。▽神や天皇の言葉の尊敬語。
出典万葉集 四三二八
「大君のみこと畏(かしこ)み磯(いそ)に触(ふ)り海原(うのはら)渡る父母(ちちはは)を置きて」
[訳] 天皇の仰せを謹んで承り、磯を伝い、海を渡っていく。父母を置いたままで。◆「み」は接頭語。上代語。
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