学研全訳古語辞典 |
われから
海藻に付着する小さな節足動物の名。
出典伊勢物語 五七
「海人(あま)の刈る藻に宿るてふ(=序詞(じよことば))われから身をも砕きつるかな」
[訳] 海人が刈る藻に宿るというわれからのように、自分から求めて我が身を悩ませてしまったことですよ。
参考
和歌では「我(われ)から」とかけて用いることが多い。
われ-から 【我から】
分類連語
①
自分のせいで。我ゆえ。
出典源氏物語 夕顔
「『よし、これも、われからなり』と恨み、かつは語らひ暮らし給(たま)ふ」
[訳] 「しかたがない、これ(=夕顔が素性を明かさないこと)も、自分のせいである」と(源氏は夕顔を)恨み、一方では(彼女と)親しく話をして一日中過ごしなさる。
②
自分から。みずから。
出典古今集 恋五
「海人(あま)の刈る藻に住む虫の(=序詞(じよことば))われからと音(ね)をこそ泣かめ世をば恨みじ」
[訳] 海人が刈る藻に住む虫にわれからと(いう虫がいるが、私の不幸は)自分から(招いたのだ)と声をあげて泣きこそしようが、世間を恨んだりするつもりはない。
なりたち
代名詞「われ」+格助詞「から」
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