学研全訳古語辞典 |
しろ 【代】
①
代わりのもの。代用。
出典万葉集 一六四二
「梅の花咲かぬがしろに擬(そ)へてだに見む」
[訳] 梅の花が咲かないが、その代わりのものになぞらえて見よう。
②
物の代わりに渡す金品。代物(だいぶつ)、または代金。
出典烏帽子折 謡曲
「およそ烏帽子(えぼし)のしろは定まりて候ふほどに」
[訳] だいたい烏帽子の代金は決まっておりますので。
だい 【代】
①
位や家督を受け継いでその地位にいる期間。
②
代わり。
出典西鶴織留 浮世・西鶴
「傘(かさ)のだいに円座を被(かづ)き」
[訳] 傘の代わりに藁(わら)で編んだ敷物をかぶり。
③
その人に代わって仕事をする人。代理。「師範だい」。
④
代金。
-だい 【代】
位や家督を受け継いだ順を表す。
出典大鏡 道長上
「三十七だいに当たり給(たま)ふ孝徳天皇」
[訳] 三十七代にあたりなさる孝徳天皇。
よ 【世・代】
①
(人の)一生。生涯。
出典古今集 雑下
「いざここにわがよは経(へ)なむ」
[訳] さあここで私の一生を過ごそう。
②
前世(ぜんぜ)(=この世に生まれる前の世)・現世(げんぜ)(=現在の世)・来世(らいせ)(=死後の世)のそれぞれ。
出典源氏物語 桐壺
「前(さき)のよにも御契りや深かりけむ」
[訳] 前(まえ)の世においてもご宿縁が深かったのだろうか。
③
時代。時分。時。
出典万葉集 九
「遠きよにありけることを」
[訳] 遠い時代にあったことを。
④
御代。治世。政治。国政。一人の統治者が国を治める期間。
出典古今集 仮名序
「年は百年(ももとせ)余り、よは十つぎになむなりにける」
[訳] 年は百年余り、治世は十代になってしまった。
⑤
世間。世の中。社会。
出典徒然草 一五五
「よに従はん人は、先づ機嫌を知るべし」
[訳] 世間に順応しようとする人は、まず物事のしおどきを知らなくてはならない。
⑥
俗世間。俗世。浮き世。
出典古今集 雑下
「よを捨てて山に入いる人」
[訳] ⇒よをすてて…。
⑦
時流。時勢。
出典源氏物語 須磨
「親しう仕うまつり、よになびかぬかぎりの人々」
[訳] 親しくお仕え申し上げ、時流になびかない人々。
⑧
男女の仲。夫婦の仲。
出典伊勢物語 二一
「思ふかひなきよなりけり」
[訳] 愛してきたかいのない二人の仲だったなあ。
⑨
生活。生業。境遇。
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