学研全訳古語辞典 |
せち・なり 【切なり】
活用{なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ}
①
ひたむきだ。いちずだ。
出典大和物語 一七一
「いとせちに聞こえさすべきことありて」
[訳] まことに是非とも申し上げたいことがあって。
②
痛切だ。思いが甚だしい。
出典方丈記
「嘆きせちなるときも、声をあげて泣くことなし」
[訳] 嘆きが痛切なときも、声をあげて泣くこともない。
③
すばらしい。感きわまる。
出典源氏物語 藤裏葉
「物の興(きよう)せちなるほどに、御前にみな御琴(こと)ども参れり」
[訳] 音楽の感興がすばらしいので、(帝(みかど)・院・源氏のそれぞれの)御前にすべてお琴を差し上げた。◆「せつなり」とも。連用形「せちに」の形で副詞的に用いられることが多い。
せつ・なり 【切なり】
「せち(切)なり」に同じ。
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