学研全訳古語辞典 |
せ-ざい 【前栽】
「せんざい」に同じ。◆「せんざい」の撥音(はつおん)「ん」が表記されない形。
せん-ざい 【前栽】
①
庭先の草木。植木。
出典枕草子 九月ばかり、夜一夜
「せんざいの露こぼるばかりぬれかかりたるも、いとをかし」
[訳] 庭先の草木の露がこぼれるほどびっしょりとぬれているのも、たいへん情趣深い。
②
庭の植え込み。花壇。
出典伊勢物語 二三
「せんざいの中に隠れゐて、河内へいぬる顔にて見れば」
[訳] 庭の植え込みの中に隠れて座って、河内へ行ってしまうふりをして(ようすを)見ると。
参考
平安時代、宮中の殿舎や貴族の邸宅には、自然のままの山野の姿をそのまま移そうとつとめたらしく、特に春や秋の草木を植えて「前栽」とすることが多かった。
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