学研全訳古語辞典 |
せん-ど 【先途・前途】
①
行く先。落ち着く先。前途(ぜんと)。
出典平家物語 二・一行阿闍梨之沙汰
「冥々(みやうみやう)として人もなく、行歩(かうほ)にせんど迷ひ」
[訳] 真っ暗で人もおらず、歩行に行く先を迷い。
②
将来。前途。また、その目標。
出典平家物語 四・競
「せんど・後栄を存じて、当家に奉公いたさんとや思ふ」
[訳] 将来の出世や後々の栄達を考えて、当家に奉公しようと思うのか。
③
物事の終局。最後。人の死。最期。
出典徒然草 七四
「名利(みやうり)に溺(おぼ)れて、せんどの近きことを顧みねばなり」
[訳] 名誉や利益(を得ること)に心を奪われて、人生の最期が近いことを気にかけないからである。
④
勝敗や成否を決する分かれ目。瀬戸際。
出典保元物語 中
「ここをせんどと防ぎけり」
[訳] ここを勝敗の分かれ目として(敵を)防いだのであった。
⑤
貴族社会で、家筋によって決まる、昇進できる最高の官職。◆「せんと」とも。
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