学研全訳古語辞典 |
いな-や 【否や】
①
いいや。いやいや。▽相手の言動を強く否定するときに発する語。
出典平家物語 一一・副将被斬
「『いなや、帰らじ』とこそ泣き給(たま)へ」
[訳] 「いいや、帰るまい」とお泣きになる。
②
これはこれは。いやはや。▽ひどく驚いて発する語。
出典今昔物語集 二三・一九
「いなや、かくは思はざりつ」
[訳] いやはや、こんな事とは思わなかった。
③
どうであろうか。▽問いかける語。
出典枕草子 御かたがた、君たち
「思ふべしや、いなや」
[訳] 愛するのがよいだろうか、どうであろうか。
〔「…といなや」「…やいなや」の形で〕…するとすぐに。するかしないかのうちに。
出典世間胸算用 浮世・西鶴
「朝飯(あさめし)過ぎるといなや」
[訳] 朝飯が終わるとすぐに。
参考
「や」はもとは間投助詞。「いな」を強めた語。
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