学研全訳古語辞典 |
じち 【実】
①
実際の物事。真実。本当。本物。
②
誠実。実直。◆「じつ」とも。
じつ 【実】
①
事実。真実。「じち」とも。
出典難波土産 発端
「芸といふものはじつと虚(うそ)との皮膜(ひにく)の間(あひだ)にあるものなり」
[訳] 芸というものは事実とうそとの紙一重の間にあるものだ。
②
実質。本性。
出典海道記
「本尊のじつをたづぬれば観世音と申す」
[訳] 本尊の本性を尋ねると、観世音であるという。
③
まごころ。誠意。
む-ざね 【実】
実体。正体。そのものの本体。
さね 【核・実】
①
果実の種。
②
根本のもの。本体。
ま-こと 【真・実・誠】
①
真実。事実。本当。
出典徒然草 七三
「世に語り伝ふること、まことはあいなきにや、多くはみな虚言(そらごと)なり」
[訳] 世間で語り伝えていることは、真実はつまらないのであろうか、多くはみんなつくりごとである。
②
誠実。誠意。真心。
出典徒然草 一四一
「あづま人こそ、言ひつることは頼まるれ。都の人は、ことうけのみよくて、まことなし」
[訳] 東国の人は言ったことは頼みになる。都の人は、返事だけがよくて、誠実さがない。
実に。本当に。
出典万葉集 二四五
「聞くがごとまこと貴(たふと)く奇(くす)しくも神さびをるかこれの水島」
[訳] かねて聞いていたように、本当に貴く不思議に神々しい姿をしていることだよ、この水島は。
そうそう。あっ、そうだ。
出典宇治拾遺 八・三
「まことまこと、ありつる鉢を忘れて、取り出でずなりつる」
[訳] そうそう、さきほどの鉢を忘れて、取り出さないままにしてしまった。
実のページへのリンク |