学研全訳古語辞典 |
げ-に 【実に】
①
なるほど。いかにも。本当に。▽同調する意を表す。
出典土佐日記 一・一一
「いかでとく京へもがなと思ふ心あれば、この歌よしとにはあらねど、げにと思ひて人々忘れず」
[訳] なんとかして早く京に帰りたいと思う心があるので、この歌は上手だというのではないが、(歌の心情を)なるほどと思って人々は忘れない。
②
本当に、まあ。まことに、まあ。▽感動の意を表す。
出典源氏物語 若紫
「またゐたる大人、『げに』とうち泣きて」
[訳] もう一人(そこに)座っていた年配の女房が、「本当に、まあ」とふっと涙をこぼして。
まこと-に 【真に・実に・誠に】
本当に。まったく。
出典竹取物語 燕の子安貝
「まことに燕(つばくらめ)巣つくれり」
[訳] 本当に燕(つばめ)が巣をつくった。
ああ、そうそう。▽ふと思い出したことを言うときの語。
出典大鏡 道長下
「羽うち広げて居て候ひしほどは、まことに、雪少し打ち散りて」
[訳] (たかが)羽を大きく広げてとまっておりましたときは、そうそう、雪が少しこぼれ散って。
実にのページへのリンク |