学研全訳古語辞典 |
こころ-ばへ 【心ばへ】
①
気立て。
出典源氏物語 桐壺
「この御子(みこ)のおよすけもておはする御かたち、こころばへありがたく珍しきまで見え給(たま)ふを」
[訳] このお子のだんだん成長しなさっていくご容貌(ようぼう)、気立てがめったになく珍しいほどにお見えになるのを。
②
心遣い。配慮。
出典源氏物語 葵
「御供の人々、うちかしこまり、こころばへありつつ渡るを」
[訳] お供の人々は、威儀を正し、心遣いをしながら通り過ぎるので。
③
風情。趣。
出典源氏物語 明石
「岩に生ひたる松の根ざしも、こころばへあるさまなり」
[訳] 岩に生えている松の根の張りぐあいも、風情のあるようすである。
参考
「こころばへ」は人の心についてだけでなく、自然や物についても用いられる。
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