学研全訳古語辞典 |
こころ-と・し 【心疾し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
気ぜわしい。気が早い。
出典徒然草 一三九
「一重(ひとへ)なるが、まづ咲きて散りたるは、こころとくをかし」
[訳] 一重の梅が最初に咲いて散ってしまうのは、気が早くておもしろい。
②
よく気がつく。察しがよい。
出典俊頼髄脳
「こころとく詠めるもめでたし」
[訳] 察しよく歌を詠んだというのもすばらしい。[反対語] 心鈍(こころおそ)し。
こころ-やま・し 【心疾し】
活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}
満足できず、不愉快な感じである。気にくわない。おもしろくない。ものたりない。
出典蜻蛉日記 中
「こころやましきさまにて、絶えてことづてもなし」
[訳] 気にくわないようすで伝言の一つとしてないことだ。[反対語] 快(こころよ)し。
参考
名詞「心」+「やまし(=「病む」の形容詞化)」から。現代語の「やましい」は、後ろ暗い、後ろめたいの意であるが、「やまし」のその意味は近世に生じた。
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