学研全訳古語辞典 |
あ・る 【散る・離る】
活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}
遠のく。離れる。
出典竹取物語 燕の子安貝
「あれて寄りまうで来(こ)ず」
[訳] 離れて寄ってまいりません。
ち・る 【散る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
散り落ちる。散る。
出典更級日記 大納言殿の姫君
「花の咲きちるをりごとに、乳母(めのと)亡くなりしをりぞかしとのみあはれなるに」
[訳] 桜の花の咲き散る時節ごとに、乳母の亡くなった季節だなあとただもうしみじみとするが。
②
散らばる。
出典源氏物語 蛍
「こなたかなたに、かかる物どもの、ちりつつ」
[訳] あちらこちらに、こうした絵物語が散らばり散らばりして。
③
世間に広まって知れる。
出典枕草子 頭の弁の、職にまゐり給ひて
「見ぐるしきことちるがわびしければ」
[訳] みっともないことばが世間に広まるのがつらいので。
④
(心が)まとまらない。落ち着かない。
出典源氏物語 若菜下
「いろいろ目移ろひ心ちりて」
[訳] (あれにもこれにも)いろいろと目移りがして心が落ち着かないで。
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