学研全訳古語辞典 |
さ-も 【然も】
分類連語
そのようにも。そうも。
出典枕草子 鳥は
「ただ雀(すずめ)などのやうに常にある鳥ならば、さもおぼゆまじ」
[訳] ただすずめなどのように(一年中)いつもいる鳥ならば、(私は)そうも(=残念にも)感じないだろう。
なりたち
副詞「さ」+係助詞「も」
①
いかにも。まったく。ほんとうに。
出典源氏物語 宿木
「さも清らにおはしける大臣(おとど)かな」
[訳] (夕霧の君は)いかにも美しくていらっしゃる大臣だなあ。
②
〔下に打消の語を伴って〕それほど。たいして。
出典源氏物語 蓬生
「ただこちたき御ものづつみなれば、さもむつび給(たま)はぬを」
[訳] (末摘花は)ただ大変な引っこみ思案でいらっしゃるので、(叔母と)それほど親しくなさらないのを。◆副詞「さ」に係助詞「も」が付いて一語化したもの。
しか-も 【然も】
分類連語
①
そのようにも。
出典徒然草 一五五
「待つこと、しかも急ならざるに、覚えずして来る」
[訳] (死を)待つことは、そのようにも急でないのに、思いがけずやってくる。
②
〔下に「…か」を伴って〕そんなにも(…かなあ)。
出典万葉集 一八
「三輪山(みわやま)をしかも隠すか雲だにも心あらなも隠さふべしや」
[訳] ⇒みわやまを…。◆「も」は係助詞。
なおその上に。
出典方丈記
「行く河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」
[訳] 流れていく河の流れは絶えることがなくて、なおその上に以前からあった水ではない。
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