学研全訳古語辞典 |
物の名
分類文芸
「物名(ぶつめい)」とも。主として和歌の遊戯的な技法の一つ。一首の中に事物の名を詠み込むもので、歌の内容にはかかわりがない。たとえば、「秋近う野はなりにけり白露の置ける草葉も色変はりゆく」(『古今和歌集』)〈野は秋が近くなったなあ。もう白露が置いている草葉も色づきはじめたことであるよ。〉では、「あきちかうのはなりにけり」に「桔梗(きちかう)(=ききょう)の花」を詠み込んでいるなど。『古今和歌集』などでは部立(ぶだ)ての一つとしている。「隠し題」ともいい、その歌は「物の名の歌」「物名歌(ぶつめいか)」という。
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