学研全訳古語辞典 |
そ-む・く 【背く】
活用{か/き/く/く/け/け}
①
後ろ向きになる。背中を向ける。
出典徒然草 二三六
「御前(おまへ)なる獅子(しし)・狛犬(こまいぬ)そむきて後ろざまに立ちたりければ」
[訳] 社殿の前の獅子と狛犬とが(たがいに)背中を向けて後ろ向きに立っていたので。
②
逆らう。背く。
出典竹取物語 御門の求婚
「国王の仰せ言(ごと)をそむかば、はや殺し給(たま)ひてよかし」
[訳] 国王のご命令に逆らうなら、すぐ私をお殺しになってくださいませ。
③
夫婦が別れる。離れる。
出典源氏物語 夢浮橋
「御心ざし深かりける御仲をそむき給(たま)ひて」
[訳] ご愛情が深かった御夫婦仲であったのに、(=あなた浮舟は)お離れになって。
④
出家する。隠遁(いんとん)する。
出典徒然草 五八
「そむけるかひなし。さばかりならば、なじかは捨てし」
[訳] (こんなことでは)出家したかいがない。その程度ならば、どうして世を捨てたのか。
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
①
後ろや横を向かせる。そらす。
出典源氏物語 帚木
「火ほのかに壁にそむけ」
[訳] 灯火は細くして壁の方に後ろを向かせ。
②
離す。離反する。
出典増鏡 新島守
「日に添へて人にもそむけられゆくに」
[訳] 日がたつにつれて人にも離反されていくが。
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