学研全訳古語辞典 |
かうぶ・る 【被る・蒙る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
お受けする。いただく。
出典土佐日記 一・三〇
「神仏(かみほとけ)の恵みかうぶれるに似たり」
[訳] 神仏の恩恵をいただいているようである。
②
身に受ける。負う。こうむる。
出典平家物語 一一・一門大路渡
「疵(きず)をかうぶったりしかば」
[訳] 傷を負ってしまったので。◆「かがふる」の変化した語。中世後期以降は「かうむる」。
かうむ・る 【被る・蒙る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
「かうぶる」に同じ。◆「かうぶる」の変化した語。
出典保元物語 上
「讒言(ざんげん)をかうむりて」
[訳] うそのつげ口(の被害)を受けて。
かぶ・る 【被る・冠る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
上からものの表面を覆う。かぶる。
出典心中天網島 浄瑠・近松
「火燵(こたつ)に治兵衛(ぢへゑ)またころり、かぶる蒲団(ふとん)の格子縞(かうしじま)」
[訳] こたつに治兵衛はまたころりと寝転がり格子縞のふとんをかぶる。
②
頭から浴びる。
出典七偏人 滑稽
「丼鉢(どんぶりばち)を倒(たふ)してかぶりし小麦(うどん)の粉(こ)に」
[訳] 丼鉢を倒して頭から浴びたうどんの粉で。
③
(恩恵や賞罰を)受ける。
出典宇津保物語 祭の使
「望みあるもののせいとくをかぶらんとて」
[訳] 願いのある者が権力の恩恵を受けようとして。◆「かうぶる」の変化した語。
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
だまされる。
出典世間胸算用 浮世・西鶴
「どこの牛の骨やらしらいで人のかぶる衣装つき」
[訳] どこの馬の骨かわからないで人がだまされる着物姿。◆「かうぶる」の変化した語。
こうぶる 【被る・蒙る】
⇒かうぶる
こうむる 【被る・蒙る】
⇒かうむる
かがふ・る 【冠る・被る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
かぶる。
出典万葉集 八九二
「麻衾(あさぶすま)引きかがふり」
[訳] ⇒かぜまじり…。
②
(恩恵や命令などを)受ける。いただく。
出典万葉集 四三二一
「畏(かしこ)きや命(みこと)かがふり」
[訳] 畏(おそ)れ多い天皇のご命令を受け。◆「かうぶる」「かうむる」の古形。上代語。
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