学研全訳古語辞典 |
かる・し 【軽し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
「かろし①」に同じ。
出典世間胸算用 浮世・西鶴
「かるきをとれば」
[訳] (量目の)軽い(小判)を受け取れば。
②
「かろし②」に同じ。
出典源氏物語 若菜下
「姫君の御おぼえ、などてはかるくはあらむ」
[訳] 姫君のご評判は、どうして重々しくないことがあろうか。
かろ・し 【軽し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
軽い。目方が少ない。
出典源氏物語 少女
「風に散る紅葉はかろし」
[訳] 風に散る紅葉は軽い。
②
重々しくない。重大でない。
出典宇治拾遺 九・六
「罪にまかせて重くかろく戒むることありければ」
[訳] 罪に応じて、重く、または重々しくなく戒めることがあったので。
③
あっさりしている。淡白だ。
出典三冊子 俳論
「先師は懐紙の発句はかろきを好まれしなり」
[訳] 先師(=芭蕉(ばしよう))は懐紙の発句はあっさりしているものを好まれた。
④
軽薄だ。軽率だ。
出典源氏物語 真木柱
「名残なう移ろふ心の、いとかろきぞや」
[訳] 心残りなく移っていく心の、なんと軽薄なことよ。
⑤
価値が低い。身分が低い。軽んずべきである。
出典方丈記
「たまたま換ふる者は、金(こがね)をかろくし、粟(ぞく)を重くす」
[訳] 時たま交換する者は、金の価値を低くし、粟(=穀物)の価値を高くする。[反対語]①~⑤重し。
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