いひつく

学研全訳古語辞典

いひ－つ・く 【言ひ付く】

[一]自動詞カ行四段活用

活用 ｛か／き／く／く／け／け｝; 言い寄る。言い寄って親しい間柄になる。

出典 大和物語 一〇三

「後は返り事はしていひつきにける」

[訳] 後には返事をして親しい間柄になってしまった。

[二]他動詞カ行下二段活用

活用 ｛け／け／く／くる／くれ／けよ｝

① 頼む。託す。

出典 大和物語 一六八

「宮の御返りも人々の消息（せうそこ）もいひつけて」

[訳] 宮のお返事も人々の伝言も託してと。

② 告げ口する。

出典 枕草子 弘徽殿とは

「人に恥ぢがましきこといひつけたりと恨みて」

[訳] 人に外聞が悪いことを告げ口したと恨んで。

③ 言いなれる。

出典 徒然草 七八

「ここもとにいひつけたる言種（ことくさ）、物の名など」

[訳] こちらで言いなれている話題や、物の名前などを。