古語:

かみの意味

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かみ 【上】

名詞

上(うえ)。上方。


出典伊勢物語 八七


「この山のかみにありといふ布引(ぬのびき)の滝見にのぼらむ」


[訳] この山の上にあるという布引の滝を見に登ろう。


川上。上流。


出典伊勢物語 八七


「さる滝のかみに」


[訳] そんな滝の上流に。


上の位。上位。


出典伊勢物語 八二


「かみ中(なか)下(しも)みな歌よみけり」


[訳] 身分の上位中位下位の者もみな歌を詠んだ。


為政者。お上。


出典徒然草 一四二


「かみのおごり、費やすところをやめ」


[訳] 為政者がぜいたくや、浪費をすることをやめ。


年長者。年上。


出典源氏物語 若菜下


「七つよりかみのは、みな殿上(てんじやう)せさせ給(たま)ふ」


[訳] 七歳から年上の者は、みな昇殿をおさせになる。


主人。主婦。おかみ。


出典女腹切 浄瑠・近松


「下(しも)の町(ちやう)の酒屋のかみ」


[訳] 下手にある町の酒屋のおかみ。


優位。上位。


出典古今集 仮名序


「人麻呂(ひとまろ)は赤人(あかひと)がかみに立たむ事かたく」


[訳] (柿本(かきのもとの))人麻呂は(山部(やまべの))赤人の上位に立つようなことはむずかしく。


上席。上座。


出典大鏡 道隆


「この入道殿のかみにさぶらはれしは」


[訳] (高階成忠(たかしななりただ)が)今の入道殿(=道長)の上座にお着き申し上げなさったのは。


京都。京阪地方。


出典好色一代男 浮世・西鶴


「なんとそののちはかみへも上(のぼ)らぬか」


[訳] なんとまあ、その後は京都へも行かないのか。


(京都で、内裏(だいり)に近い)北の方。


出典大鏡 道長下


「焼亡(せうまう)かと思ひて、かみを見あぐれば」


[訳] 火事かと思って、北の方を見上げたところ。


はじめ。(和歌の)上の句。


出典伊勢物語 九


「かきつばたといふ五文字(いつもじ)を句のかみに据ゑて」


[訳] かきつばたという五文字を句のはじめに置いて。


月の前半。上旬。


出典今昔物語集 一五・五一


「月のかみの十五日には」


[訳] 月の前半の十五日間は。


古い時代。昔。


出典千載集 序


「かみ正暦(しやうりやく)のころほひより、しも文治(ぶんぢ)の今に至るまで」


[訳] 古くは正暦のころから、のちは文治の今に至るまで。[反対語]下(しも)。


参考

「かみ」と「うへ」の違い 「うへ」は「した」と隔たりをもって対立し、物の表面や空間的な高所を示す。「かみ」は「なか」「しも」と一続きのものの中で、時間的にも空間的にも、初めの方、さかのぼった方、また人間関係においての上位を示す。



かみ 【神】

名詞

神。▽人の目には見えないが、超自然的能力をもつ存在。


出典今昔物語集 三一・三三


「なんぢ、されば、何者ぞ。鬼かかみか」


[訳] ではお前は何者か。鬼か、それとも神か。


神。▽神話で、人格化され、国土を創造し支配したとされる存在。


出典古事記 神代


「次に成りませるかみの名は、国之常立(くにのとこたち)のかみ」


[訳] 次にお生まれになった神の名は、国の常立の神。


天皇。▽最高の支配者である天皇を神格化。


出典万葉集 二九


「橿原(かしはら)のひじりの御代ゆ生(あ)れまししかみのことごと」


[訳] 橿原の天皇(=神武天皇)の御代以来お生まれになった天皇のすべてが。


雷。


出典伊勢物語 六


「かみさへいといみじう鳴り、雨もいたう降りければ」


[訳] (夜も更けたうえに)雷までとてもひどく鳴り、雨もひどく降ったので。


(神社の)祭神。


出典徒然草 五二


「かみへ参るこそ本意(ほい)なれと思ひ、山までは見ず」


[訳] (岩清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)の)祭神へお参りすることこそ本来の目的であると思って、山までは(行って)見ない。



かみ 【長官】

名詞

律令制で、「四等官」の首位。その役所の仕事を統率する長官。


参考

役所によって異なる字を当てる。神祇(じんぎ)官では「伯」、太政(だいじよう)官では「大臣」、省では「卿」、国司では「守」など。



かみ 【髪】

名詞

髪の毛。頭髪。


出典枕草子 うらやましげなるもの


「かみいと長くうるはしく、下がり端(ば)などめでたき人」


[訳] 髪が非常に長く美しく、垂れた髪の先などが見事である人(もうらやましい)。


参考

平安時代の貴族社会の女性は、つややかで長い黒髪を理想とし、そのような髪をもつことが美人としての最大の条件であった。物語作品には、女性をほめる表現として、髪が丈(たけ)に余るほど長いことを描写している場面がよく見られる。








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