学研全訳古語辞典 |
か-も
《接続》体言や活用語の連体形などに付く。〔疑問〕…か(なあ)。…なのか。
出典万葉集 八四四
「妹(いも)が家(へ)に雪かも降ると」
[訳] 妻の家に雪が降るのかなあと。
語法
「かも」を受ける文末の活用語は連体形になる。
参考
(1)係助詞「か」に係助詞「も」が付いて一語化したもの。(2)活用語の已然形に付く場合もある。(例)「妹(いも)も我も一つなれかも」(『万葉集』)〈彼女も私も一体であるからか。〉「…から」と訳すのは、上代は「已然形」だけで、「已然形+ば」と同じ確定条件を表すことができたからである。
か-も
《接続》体言や活用語の連体形などに付く。
①
〔感動・詠嘆〕…ことよ。…だなあ。
出典万葉集 九二四
「木末(こぬれ)には幾許(ここだ)も騒く鳥の声かも」
[訳] ⇒みよしののきさやまのまの…。
②
〔詠嘆を含んだ疑問〕…かなあ。
出典万葉集 三六四一
「浦廻(うらみ)より楫(かぢ)の音するは海人娘子(あまをとめ)かも」
[訳] 入り江に沿って楫の音がするのは漁師の娘なのだろうかなあ。
③
〔詠嘆を含んだ反語〕…だろうか、いや…ではない。▽形式名詞「もの」に付いた「ものかも」、助動詞「む」の已然形「め」に付いた「めかも」の形で。
出典古今集 仮名序
「古(いにしへ)を仰ぎて、今を恋ひざらめかも」
[訳] (この歌集が後世に長く伝わったら、歌の初めて隆盛した)昔のことを尊敬して、(この)今の時代をあこがれないだろうか、いや、あこがれないはずはない。
④
〔助動詞「ず」の連体形「ぬ」に付いた「ぬかも」の形で、願望〕…てほしいなあ。…ないかなあ。
出典万葉集 三六五一
「夜渡る月は早も出(い)でぬかも」
[訳] 夜空を渡る月が早く出てほしいなあ。
参考
上代に用いられ、中古以降は「かな」。
賀茂
分類寺社名
京都の賀茂別雷(かもわけいかずち)神社(上賀茂(かみがも)社)と賀茂御祖(かもみおや)神社(下鴨(しもがも)社)の総称。
かも 【鴨】
水鳥の名。秋から冬にかけて北方から渡来し、春に北方へ帰るものが多い。[季語] 冬。
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