学研全訳古語辞典 |
けり
《接続》活用語の連用形に付く。
①
〔過去〕…た。…たそうだ。…たということだ。▽過去の事柄を他から伝え聞いたこととして述べる。
出典竹取物語 かぐや姫の生ひ立ち
「今は昔、竹取の翁(おきな)といふ者ありけり」
[訳] 今となってはもう昔のことだが、竹取の翁という人がいたということだ。
②
〔詠嘆〕…だった。…だったのだなあ。…ことよ。
出典古今集 春上
「年の内に春は来にけりひととせを去年(こぞ)とやいはむ今年とやいはむ」
[訳] ⇒としのうちに…。
語法
(1)詠嘆の「けり」それまで気付かずにいたことに初めて気付いた気持ちを表す用法。その驚きが強いとき、詠嘆の意が生ずる。断定の助動詞「なり」と重ねて、和歌に好んで用いられた。(2)未然形の「けら」(上代=『万葉集』の用法)未然形「けら」は、右以外、用いられない。(3)「き」との違い⇒き
参考
(1)①は、物語などの地の文に、②は、和歌や会話文に多い。(2)「けり」が和歌や俳句の末尾にくることが多かったため、「けりがつく」のように、「物事の終わり」「決着」の意味も表すようになった。
け・り 【来り】
活用{ら/り/り/る/れ/れ}
来ている。やって来た。
出典万葉集 三九五七
「玉梓(たまづさ)の(=枕詞(まくらことば))使ひのければ嬉(うれ)しみと」
[訳] (都から)使者がやって来たので、うれしくて。◆カ変動詞「く(来)」の連用形+ラ変動詞「あり」からなる「きあり」の変化した語。
け・り 【着り・著り】
活用{ら/り/り/る/れ/れ}
着ている。
出典万葉集 九七九
「わが背子(せこ)がける衣(きぬ)薄し」
[訳] あの人が着ている着物は薄い。◆動詞「き(着)る」の連用形+ラ変動詞「あり」からなる「きあり」の変化した語。
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