学研全訳古語辞典 |
このよにし…
分類和歌
「この世にし楽しくあらば来(こ)む世には虫に鳥にも我はなりなむ」
出典万葉集 三四八・大伴旅人(おほとものたびと)
[訳] 何と言ってもこの世で楽しくあるならば、来世では虫にでも、鳥にでも、わたしはなってしまおう。
鑑賞
旅人の「讚酒歌(さけをほむるうた)」十三首の中の一首。「楽しく」とは飲酒の快楽をいう。飲酒は仏教の五戒の一つで、これを犯せば悪道におちるといわれる。それでも構わないとするところに旅人の享楽思想がうかがえる。「なむ」の「な」は、完了の助動詞「ぬ」の未然形で確述を表す。
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