学研全訳古語辞典 |
ご-ぜん 【御前】
①
高貴な人の前。おんまえ。「おまへ」とも。
出典源氏物語 末摘花
「夜に入(い)りてごぜんよりまかで給(たま)ふに」
[訳] 夜になって(天皇の)おんまえからご退出なさるが。
②
高貴な人を尊敬していう語。
出典枕草子 頭の中将の
「いかにかはすべからむ、ごぜんおはしまさば、御覧ぜさすべきを」
[訳] どうしたらよかろうか、中宮様がいらっしゃったら、お目にかけたいのだが。
③
奥方。▽江戸時代に大名・武家などの妻を尊敬していう語。
出典好色一代女 浮世・西鶴
「ある大名のごぜん死去の後、家中は若殿のなきことを悲しみ」
[訳] ある大名の奥方が亡くなってから、家中の者は(世継ぎの)若君がいないことを嘆いて。
④
「御前駆(ごぜんく)」の略。貴人が外出するとき、馬に乗って先導する人。お先払い。
出典源氏物語 賢木
「むつましきごぜん、十余人ばかり、御随身(みずいじん)ことごとしき姿ならで」
[訳] (源氏は)親しいお先払いの者を、十人あまりと、御随身も大げさな装いでなくて。
あなた。▽女性に対していう対称の人称代名詞。
出典宇治拾遺 一四・一一
「ごぜんたち、さは、いたく笑ひ給(たま)ひて、わび給ふなよ」
[訳] あなた方、それでは、ひどくお笑いになって、お苦しみになるなよ。
-ごぜん 【御前】
…どの。…様。▽固有名詞や人を表す語に付いて、敬意を表す。「姫ごぜん」「父ごぜん」「兄ごぜん」
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