学研全訳古語辞典 |
た-の・む 【手飲む】
活用{ま/み/む/む/め/め}
手ですくって飲む。
出典伊勢物語 一二二
「たのみしかひもなき世なりけり」
[訳] 手ですくって飲んだ、(そのように頼んだ)かいもない二人の間柄だったなあ。◆和歌では「頼む」とかけて用いることが多い。
た-の-む 【田の面】
「たのも」に同じ。
出典新古今集 春上
「忘るなよたのむの沢を立つ雁(かり)も」
[訳] 忘れるなよ。田に続いている沢を立っていく雁も。◆和歌では「頼む」とかけて用いることが多い。
たの・む 【頼む】
活用{ま/み/む/む/め/め}
①
頼りにする。あてにする。頼る。期待する。
出典徒然草 九二
「のちの矢をたのみて、初めの矢になほざりの心あり」
[訳] あとの矢をあてにして、最初の矢(を射ること)にいいかげんな気持ちが生ずる。
②
頼って仕える。主人とする。
出典平家物語 一二・六代被斬
「頼朝(よりとも)をたのまば助けて使はんは、いかに」
[訳] 頼朝を頼って仕えるならば、助けて家臣として使ってやるが、どうだ。
{語幹〈たの〉}頼りにさせる。あてにさせる。期待させる。
出典徒然草 一八九
「待つ人は障りありて、たのめぬ人は来(き)たり」
[訳] 待っている人には差し障りがあり、来ることを期待させない人はやってくる。
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