学研全訳古語辞典 |
たら-・む
分類連語
…であるだろう。▽いったん断定したことに対して、ややためらって推量する。
出典平家物語 三・法印問答
「下(しも)として上(かみ)にさかふること、あに人臣の礼たらんや」
[訳] 臣下として主君に逆らうことは、どうして臣下としての礼であるだろうか、いや、臣下としての礼ではないだろう。
注意
体言に付く連語。
なりたち
断定の助動詞「たり」の未然形+推量の助動詞「む」
たら-・む
分類連語
①
…ているだろう。…ていよう。▽実現されているはずのことで、まだ確認されていない事態を推量する。
出典枕草子 宮にはじめてまゐりたるころ
「下がりまほしうなりにたらむ」
[訳] (自分の部屋に)下がりたくなってしまっているだろう。
②
〔多く連体修飾や準体言の用法で〕…したならば、その…。…したような。▽実現していない事態を仮定して述べたり、実現している事態を婉曲(えんきよく)に述べたりする。
出典伊勢物語 九
「比叡(ひえ)の山を二十(はたち)ばかり重ね上げたらむほどして」
[訳] 比叡山(ひえいざん)を二十ほど積み上げたような程度(の高さ)で。
注意
活用語の連用形に付く連語。
なりたち
完了の助動詞「たり」の未然形+推量の助動詞「む」
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