学研全訳古語辞典 |
なか-なか
①
かえって。むしろ。なまじっか。
出典源氏物語 若紫
「髪の美しげにそがれたる末(すゑ)も、なかなか長きよりもこよなう今めかしきものかな」
[訳] (尼君の)髪がきれいに切り落とされている先端も、なまじっか長いのよりはこの上なくしゃれているものだな。
②
〔下に打消の語を伴って〕簡単には。とても。
出典安宅 謡曲
「後に引き退(さ)がっておん通り候はば、なかなか人は思ひ寄り申すまじきと存じ候ふ」
[訳] (我々の)後ろに下がって(関所を)お通りになりましたら、簡単には人は(変装だと)気がつくまいと存じます。
いかにも。そのとおり。▽相手の言葉を肯定する語。謡曲や狂言などで用いられる。
出典末広がり 狂言
「『なんと末広がりになったではおりないか』『なかなか、末広がりになりました』」
[訳] 「なんと末広がりになったではありませんか」「いかにも、末広がりになりました」
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