学研全訳古語辞典 |
ひし-と
①
みしみしと。▽物がきしむ音の形容。
出典万葉集 三二七〇
「この床(とこ)のひしと鳴るまで嘆きつるかも」
[訳] この床がみしみしと鳴るほどにため息をついたことだ。
②
びっしりと。ぴったりと。▽すき間のないようす。
出典今昔物語集 二三・一九
「男の腰をひしと挟みたりければ」
[訳] 男の腰をぴったりと挟んでいたので。
③
ぴたっと。ぱったりと。▽急に中断するようす。
出典讚岐典侍 上
「久住者(くぢゆうさ)ども、ひしと止(や)みぬ」
[訳] 長い間比叡山(ひえいざん)で修行している僧たち(の読経の声)がぴたっとやんだ。
④
しっかりと。▽行動が確かであるようす。
出典徒然草 四九
「無常の身に迫りぬることを心にひしとかけて」
[訳] (人間は)死が身近に近づいていることを心にしっかりとおいて。
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