学研全訳古語辞典 |
ひしひし-と
①
みしみしと。▽物がきしむ音の形容。
出典源氏物語 夕顔
「物の足音、ひしひしと踏み鳴らしつつ」
[訳] 何ものかの足音がみしみしと(床を)踏み鳴らしながら。
②
ぎっしりと。ぴったりと。▽すき間のないようす。
出典平家物語 九・宇治川先陣
「五百余騎、ひしひしとくつばみを並ぶるところに」
[訳] 五百余の馬にまたがった武者がぎっしりとくつばみ(=馬の口のところの器具)を並べているところに。
③
激しく。したたかに。▽容赦なく厳しくせまるようす。
出典愚管抄 五
「ひしひしと問ひければ、みな落ちにけり」
[訳] 激しく問いつめたので、みんな白状した。
④
むしゃむしゃと。▽物を食べる音の形容。
出典宇治拾遺 一・一二
「ひしひしと、ただ食ひに食ふ音のしければ」
[訳] むしゃむしゃと、ひたすら食べに食べる音がしたので。
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