学研全訳古語辞典 |
おいぬれば…
分類和歌
「老いぬればさらぬ別れのありといへばいよいよ見まくほしき君かな」
出典伊勢物語 八四
[訳] 年をとってしまうと、どうしても避けられない死の別れということがあるというから、ますます会いたいあなたですよ。
鑑賞
第二句が「避らぬ別れも」の形で『古今和歌集』にも見え、在原業平(ありわらのなりひら)の母の、宮仕えに忙しい業平がなかなか訪れないのを年老いた身で嘆いた歌である。これに対して、業平は、「世の中にさらぬ別れのなくもがな千代(ちよ)もと祈る人の子のため」(『伊勢物語』)〈⇒よのなかにさらぬわかれの…。〉と返歌したが、この歌も『古今和歌集』では「祈る」が「嘆く」となっている。親子の情愛が、ひしひしと伝わる歌のやりとりである。
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